住まいの資産価値に目を向けよう ー 中古住宅のススメ vol.3

中古住宅のススメ

こんにちは、大分かぼす不動産の井上です。
中古住宅のススメも第3回目、今回もご覧頂きありがとうございます。

前回のコラムでは、僕が中古住宅の購入に至った経緯についてお伝えしました。当時、賃貸派だった僕と妻が考えてたことは、物件を買えば理想が叶うとはいえ、それは正しい選択なのかということでした。

今回のコラムでは、住まいとしてのマイホームではなく、資産としてのマイホームについてお伝えします。簡単なシミュレーションなども行いましたので、参考にしていただけたら幸いです。

前回のコラムはこちらからどうぞ。

僕が中古住宅に”推し変”した理由② ー 中古住宅のススメ vol.2

マイホームは資産か?消費財か?

家賃は捨て金だが、マイホームは資産になる。
あなたも一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。では、あなたはこの言葉が本当かどうかについて、調べたり検証したりしたことはありますか。

当時、賃貸派だった僕が、マイホームの購入をすんなり決断できた理由。それは、マイホームが”資産”となり得るかを検証したからにほかなりません。
では、マイホームは本当に資産になるのでしょうか?

日本においては、家は消費財。

日本の税制では、木造の耐用年数は22年。あくまで税務上の話ですが、木造住宅の価値は22年でなくなるということを意味します。これが実際の不動産市場における経済的な耐用年数も同じであるなら、マイホームは資産ではなく消費財とするのが正しいと思います。
ここ日本においては、建築当初ピカピカだった住宅も、ローンを払い終わるころには価値がなくなってしまうということです。

しかも、住宅ローンを伴うマイホーム購入のリスクは、最悪の場合破産もあり得る大変大きなものです。僕は仕事柄、住宅購入後すぐに離婚してローン残高を清算出来ない人、体調を崩したことで就業が困難になり支払が困難になった人、子供の教育費が家計を圧迫して住宅を手放すことになった人など、恐れていたリスクが現実のものとなった方々をこれまで沢山見てきました。

だからこそ、同じ消費財に住むなら、飽き性の僕は住宅ローンを抱えるよりも、住み替えが容易な賃貸暮らしにメリットを感じていました。経年により価値が失われていくマイホームを購入することは、金利や固定資産税の負担、修繕の費用などがかかるため、僕にとっては資産どころか負債という位置付けでした。

資産価値があるなら、買う方がいい。

しかし、幸いにも当時の僕の前に現れた物件は、古家付きの土地。もちろん建物に価値はなく、価格に占める土地の比率は100%。土地を買うと、”おまけ”で家がもらえる感じです。

この場合の住宅ローンは、土地のローンを意味するもの。僕にとっては、土地しか買ってないのに、賃料の負担もなくなるという願ったり叶ったりの物件だったのです。

僕と妻は、この物件が理想の立地であることはもとより、この物件なら資産形成に有利であると判断し、すぐに購入を決断しました。

シミュレーションをしてみよう。

上の画像の二つの物件は、少し極端な例ではありますが、左は建物の状態が良いコンパクトな物件、右は僕が当時購入した様な建物に価値がない物件です。
あなたならどちらを購入するでしょうか。

予めお伝えをしておきますが、どちらが自分に合っているかは、あなたのライフステージや価値観によりますので、どちらが正解ということはありません。しかし、僕が購入した当時の様に、資産形成期においてはどうかという点を少し考えて頂けたら幸いです。

物件と融資条件

【左の物件】土地35坪、築5年
【右の建物】土地130坪、築30年、リフォーム要

【融資条件】共に金利:1%、融資期間:30年 フルローン
【融資金額】左:4,000万円  右:4,500万円(リフォーム費用500万円)
※購入時の諸費用や、保有中のコストは考慮しない。

10年後の状態

【10年後の残債】左:2,797万円  右:3,147万円
【10年後の価格】左:2,800万円  右:4,300万円
※建物の価値はいずれも10年間で当初から40%下落、土地は購入時の価格と想定

【残債と価格の差】左:3万円  右:1,153万円

月々の支払いには、消費と蓄財の側面がある

この二つの建物を購入した場合、それぞれの10年間のローンの支払い合計は、左が1,543万円、右が1,736万円となります。そして、10年後にこの物件を、10年後の価格で売却した場合、残債との差額が手元に残ることになります。※売却コストや税金は考慮していません。

今回の想定では、左は3万円、右は1,153万円の現金を手にすることが出来るわけです。ここで考えるべきことは、実際に支払ったローンの額と比較すると、左は1%にも満たないのに対し、右は65%以上のお金が手元に戻っていることです。住宅ローンの支払いが、左の物件はほぼ消費だったのに対し、右の物件は消費は35%に留まり、65%は蓄財していたと言えます。

今回二つの建物のシミュレーションを行うと、当初大きくローンを組んだのは右側の建物でしたが、10年後の手元資金を比較すると大きな差が出る結果となりました。しかし、右側の方がお金が残せた結果よりも大切なことは、購入した後のこと、少し先の将来を考えることです。

住宅にも戦略が大切

人生に必要なお金は、住宅だけに留まりません。住宅資金以外にも、教育資金や老後資金も大きなお金が必要になります。しかし、一般的に子供の進学や、老後よりも住宅の購入が先立つため、将来を無視した不相応な住宅の購入をする人は少なくありません。

住宅を購入する前に、少しだけ先のことを考えてみること。設備や仕様、立地や快適さと同じ様に、物件の資産価値について考えること。メリットだけでなく、リスクについても考えてみること。そんなちょっとしたことが、リスクの軽減や、資産形成の近道になると僕は思います。

次回は、僕が経験した引っ越しを余儀なくする出来事と、そこから学んだ住宅戦略の大切さをもう少し綴ってみたいと思います。
今回もお読み頂き、ありがとうございました!(次のコラムへ)

 

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